今月のゲスト | 下北沢一龍へ行こう!

下北沢にあります中華そば専門店「一龍」に友人、知人、初めて会う人誰でも招いてラーメンを一杯食べていただき感想文を頂戴する企画。
2003,09 奈美ちゃん
奈美ちゃん 池ポンから一龍の名前を聞いたのは、2年程前だったと思う。下北沢に、ものすごくおいしいラーメン屋がある、と。
下北沢は、地元商店街の次によく買い物に行く街であり、一龍の場所もすぐに分かった。だが、当時の私にとって、一人でラーメン屋に入るのは、それなりに勇気が必要な事だった。さらに、夜になると売り切れている事も多く、まだ店の前に漂う残り香を味わいながら、通り過ぎるのが常だった。

 そのままだったら、いまだにあのままだっただろう。が、縁とは不思議なものである。数ヶ月前、たまたま『世田谷ライフ』という雑誌を手に取ったところ、ラーメン特集で一龍が紹介されおり、しかも“池ポン”なる人物が伝道師として描かれていたのだ。
これはもしや、あの池ポンでは? と思っていたら、その直後、御本人に会う機会があり、私は、遂に一龍へと導かれることになった。

 さて。運命の日。店に入ると、師匠は一番奥の席で待っており、私を見てにんまりと笑った。自信にあふれた、不敵な笑みである。そして師匠は、一龍への愛について熱く語り、それを聞いてマスターとママさんは照れ、そうこうするうちに“中華そば”が登場した。

 噂どおり、黄金色にきらきらと輝くスープが、どんぶりの中でとろりと揺れる。鮮やかな紅ショウガとのコントラストに食欲をそそられつつ、まずは、師匠に倣ってスープを飲んでみると、口の中に広がったのは、今まで出会ったことのない味だった。
これまで、実家の近所の出前ラーメン(なぜか伊達巻きや白菜の入っている醤油ラーメン。ラップに被われて届いた)に始まり、近年のラーメンブームに従ってさまざまなラーメンを食べて来たが、そのどれにもジャンル分けできない。
なのに不思議と懐かしく、ほっとする味なのだ。ほどよい太さの縮れた麺は、もっちりした歯ごたえで、そんな麺とこってり目のスープに、細く裂かれたメンマの柔らかな食感や、紅ショウガやネギの香味などが絡み……つまり、何を言いたいのかというと。

 こういうラーメン、好き。おいしいです。

 しかし、勿体ないことをしたと思う。なぜなら、あっという間に食べてしまったからである。だって、勢い止まらないんだもん。

「あ……。もう終わっちゃった」

という私のつぶやきに、師匠は満足そうに頷いた。

「そうなんだよなあ〜。もっと食べたくなるんだよなあ〜。俺も時々、隣の人の麺を奪いたくなるよ」。

 私の隣の人、は、東大で半導体技術を学んでいるという留学生2人連れだった。ママさんは彼らに、「リモコン」とか「バカねえ」といった日本語を教えていて、笑ってしまった。そんな、ママさんやマスターの楽しいおしゃべりも、この店の魅力だろう。

 気が付くと、師匠はスープも飲み干していた。私も、改めてゆっくりと、スープを味わうことにした。そろそろお腹が苦しくなってきていたのだけれど、何しろ、後を引く。
もうやめようと思いつつ、再びレンゲに手が伸びてしまう。飲んだ後舌に残る、バターのようなコクがまた、やみつきにさせるのだ。ごはんにかけてもおいしそう。そんなことも考えたが、ついに満腹に達し、箸を置いた。

 店を出て、外に漂う香りを吸い込みながら、近いうちにまた来ようと思った。あの味が恋しくなったとき、あと、ひとりで食事するのが寂しいときにも。そうそう。ママさん、コーヒーごちそうさまでした。池ポン、いいお店に出会わせてくれてありがとう。

奈美

| 2003,09 奈美ちゃん | 10:55 | comments(0) | trackbacks(0) |
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